FC2ブログ

27年間

 今日から新年度が始まる。

31年前の今日、私は新入社員だった。

4年前の今日、私は長年在籍した会社を去った。

27年間の歳月は、世間知らずの若い女を

世間知らずの中年女に変えただけだった。



   辛いこともあったけれど、会社には感謝している。

   社会人として一から育ててもらった。

   こつこつと、まじめなだけが取り柄の私を評価してくれた。

   40歳、41歳と連続して「うつ病」で休職した私の復職を、

   寛大に受け入れてくれた。

   何より「正社員」という職種が、どれだけ社会的に

   恵まれていたか・守られていたかを実感したのは、

   再就職活動を始めてからだった。


 傍から見れば「無謀」としか映らなかった退職だが、

私にとっては他に選択肢はなかった(必然的だった)

と思っている。


 発端は、人事異動の発令だった。

その内容は、私が長い間ずっと恐れていたことだった。

両親にも、「もしそうなったら退職するから。」と

ちらっと伝えるだけは伝えていた。

いわゆる「左遷」ではなかった。

私の勤勉さを見込んで、違う分野の仕事も覚えて

会社に貢献してほしいということだった。


 私には会社に対してひた隠しにしてきた秘密があった。

家族や友人に打ち明けたのは30代後半、病院の門を

叩いたのは39歳のときだった。

それは就職後まもなく発症した強迫性障害だった。

最初は病気だと思わず、変な癖が治らないと焦っていた。

それが精神的な症状だと知ったのは30代になってからで、

それでも病院に行くことには抵抗があった。

やっと行く気になったのは、強迫性障害とそれにともなう落ち込み

うつ状態)が酷くなり、自分ではどうしようもできないと観念して

からだった。

知恵蔵2015の解説

強迫性障害

身近なものが汚染されていないか、鍵をかけただろうか、自分や他人を傷つけてしまうのではないかなど、不快さや不安を引き起こす考えやイメージが、何度も反復する強迫観念と、過剰に洗浄したり、確認したり、また、嫌な考えを打ち消すために数を数えたりする強迫行為がある。不合理と思っても止められず、その反復性と過剰により、日常生活に支障が出る。


デジタル大辞泉の解説

きょうはくせい‐しょうがい【強迫性障害

強迫観念強迫行為を主な症状とする精神疾患。意思に反して不快な考えが繰り返し頭に浮かび、また、不安を振り払うために同じ行動を繰り返し、生活にも支障が生じる神経症。不安障害の一種。治療には薬物療法、カウンセリングなど。強迫神経症。強迫症。OCD(obsessive-compulsive disorder)。



   私の場合は、確認強迫が酷かった。

   毎朝の出勤前に、部屋中が安全であるか確認しなければ
 
   気が済まず、ドアノブも何回となく引っ張ってしまう。

   就寝前にも、すべて確認しなければ気が済まず

   もはや「儀式」と化していた。

   ストレスが強くなると、なおさら確認する回数が多くなり

   無駄な時間を費やし、心身が疲弊してくる。

   ばかばかしいとわかっているのに、止められないのだ。


 「うつ病」のことは、一部の上司だけが知っていた。

でも、「強迫性障害」を併発していることだけは

どうしても言えなかった。隠しておきたかった。

 人事異動で新しい仕事に就いたら、確実に

強迫性障害」が白日の下にさらされてしまう。

きっと訝しげな視線を浴び、余計な時間が

費やされ周囲に迷惑をかけてしまう。


私はただただ、その不安に戦き「うつ病」が

再々発する絶望的な状況を思い浮かべた。


 当時のかかりつけ医に相談してみた。

「退職は仕方ないことだと思う。」と言われた。

両親は反対していたが、最後には折れた。

上司に退職願を提出したら、強く慰留された。

私は意を決して本当のことを話した。

上司は納得してくれた。

寂しいような、ほっとしたような複雑な心模様だった。




スポンサーサイト



テーマ : アスペルガー症候群・自閉症スペクトラム
ジャンル : 心と身体

記事から探す
気になる語句を入力して「検索」をクリックしてください
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログについて
参加してます
最新コメント
最新トラックバック
ありがとうございます