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劣等生

 就職が内定したので、短大の冬休みと春休みを利用して

実家近くの教習所で車の運転免許を取得することにした。


 私の父は、普通自動車免許の他に大型免許など

種々の免許を持っていて、田畑の土地改良のために

1年間休耕せざるをえなかった年には、長距離トラックの

運転手をして家計を支えていた。運転できないのは、

タクシーやバスなどお客さん相手の車両だけらしい。


 母も私が幼少の頃に、運転免許を取得していた。

家業が農業だから、普通車の他に軽トラックを運転する

必要も頻繁にあったので当然と言えば当然だった。

だから私も学生のうちに免許を取得しておきたかった。


免許の取得は難航を極めた。

私は教習所の劣等生だった。


当時はマニュアル車のみで、オートマティック車限定の免許

制度など無かった。

自分の運動音痴ぶりは常々自覚していたが、運転センスも

ないことを思い知らされ、毎日教官に叱られて落ち込んでいた。

運転センスも、発達障害自閉症スペクトラム)の傾向に

左右されるのかされないのかはよくわからない。

とにかく不器用な私は、技術の習得が人より遅いのだ。

坂道発進に失敗したり、S字カーブやクランクで脱輪したりは

日常茶飯事。たまりかねた教官から「降りろ!」と怒鳴られた

こともある。でもコース内で車から降りるのは恥ずかしいから

「嫌です。」と我を張り通した。教官にしたら迷惑千万な生徒

だったと思う。

それでも何とか冬休み中に「仮免許」を取得する

ことができた(たぶん、おまけしてくれたのだろう)。

 父に教官役になってもらい、家の車で練習したこともある。

結果はお小言の雨あられ。呆れられてしまった。

ちなみにその2年後、弟が高校3年で免許を取得することになった。

同乗した父は、私より弟の方が数段運転がうまいと言った。

それはそうでしょう。私より弟の方が将来車に乗る機会は

多くなるに違いない。私より下手だったら困るでしょう。


 仮免許を取った段階で冬休みが終わったので、

残りは春休みということになった。しかし、間が空いた分

運転技術を忘れてしまった。またやり直し。

自分の劣等生ぶりに、教官に申し訳なく思った。

よく我慢してくださいました。頭が下がります。

何度、試験に落ちたか覚えていない。

なんとか春休み中に実技試験に合格できた。

就職が決まっていると言ったから、

お情けで通してくれたのかもしれない。

補習ばかり付いたので、アルバイトで貯めたお金が

足りなくなってしまった。母が「半分出してあげるよ。」

と言ってくれた。ありがとう、そしてごめんなさい。


 学科試験は、就職してから休日を利用して受験した。

ようやく運転免許証を手に入れた。長い道のりだった。




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テーマ : アスペルガー症候群・自閉症スペクトラム
ジャンル : 心と身体

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