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絶対無理!

異動の内示を受けた際、あからさまに悲哀に満ちた表情を
浮かべた私に、上司は合点が行かないようだった。

左遷ではなく実績が認められたのだから、当然喜ぶはずだ。
そう考えていたに違いない。

「今の時代は事務だけできれば良いというものではない。
他部署の仕事も覚えて、会社に貢献してほしい。」と
念を押すように付け加えた。

私の気持ちは、正反対を示していた。
「絶対無理だ。退職するには潮時かもしれない。」


適応不可能と判断した理由はさまざまある。

業務内容
 週の半分は集団での作業に従事する
 残りの半分はデスクワークや雑務、管理的業務に従事する

組織
 女性のパート社員が多数を占め、女性の正社員は
 その一割にも満たない。
 業務の段取りは殆どの場合、男性社員が決定する



異動した場合、年齢的にただ一人の女性管理職
の下に付くことになる。
彼女は鉄のように強い女性だった。
他人にも厳しいが、自分にも厳しい。
「私について来なさい」タイプのしっかり者だった。


私は彼女を尊敬していたが、私の豆腐のような精神では
到底ついて行けないと思っていた。
せめて高野豆腐くらいにはなる必要がある。
高野豆腐になるには、精神を凍らせなければならない。


パートの女性社員の集団が怖い。
自身も立派なおばさんなのだが、幼少時より集団生活
馴染めない。
まして、正社員としてリーダーシップを発揮せざるをえない
立場になる。
私の辞書に「リーダーシップ」という言葉はない。


業務内容に興味を持てない。
場合によっては、来客交渉も視野に入れなければならない。
私は、人見知りで口下手で不器用で要領が悪い。


週半分の集団作業では、休憩をはさんで8時間、
同じ場所に起立していなければならない。
繁忙期には、早朝出勤と残業がある。
それに耐えられる体力は、たぶん無い。
腰痛持ちのデカい女(170cm強)には、周囲の人より
10cmは身長が高い故に辛い姿勢となる。



以上が表向きに挙げた理由だった。

だが、私にはもう一つ知られたくない理由があった。




テーマ : アスペルガー症候群・自閉症スペクトラム
ジャンル : 心と身体

内示

私はとうとう、「絶え間なく時間に追われる」「マルチタスク」

「少ないワーキングメモリ」という苦手分野の克服に成功した。

自己肯定感は、飛躍的に向上した。

努力と実践がうまくかみ合うと、人並みにできるようになる

という発見は大きな希望となった。


40代半ばを過ぎて、やっと自分に素直に向き合えるようになった。

平穏な日々に幸福感を抱いていた。

また仕事を教える立場になった際は、ひとつずつ丁寧に、間違った

場合は前段階に戻って説明し、納得してもらうように努めた。


営業事務に異動してから間もなく2年を迎える頃、

直属の役員に呼び出された。

人事異動の内示だった。

聞いた途端、不安の底に突き落とされた。


聞くところによると、私が一から教えた後輩社員が、

社内日報で私のことをほめちぎっていたらしく、

それを見た他部署の役員が是非にとのことだった。


その部署の仕事は、以前少しだけ経験していた。

総務に在籍していた頃、女性管理職が入院することに

なり、彼女の仕事の一部をピンチヒッターとして代行

していた。そのときは、デスクワークと雑務だけだった。


しかし今度はピンチヒッターではない。

その部署に異動して、全業務に習熟しなければならない。

実をいうと私は、その部署の主要な業務に露ほども興味を

持てなかった。というより到底適応できないと考えていた。

もし異動になったら、退職しようと密かに思い続けていた。

恐れていたことが現実のものとなってしまった。

しかし、最初から気持ちは決まっていた。




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許容範囲

 幼少時から集団生活が苦手だった私は、学生時代までは

それを克服しようと努力してきたつもりだ。

学生という横の繋がりが主な関係では、簡単ではないけれど

何とか目標に近づきつつあるような安心感があった。


社会人になって、会社という縦の繋がりが主な関係では、

周囲の人と「どこかずれている感」が拭いきれない私は、

いともたやすく磨耗してしまうことに気付いた。


社会にはさまざまな人がいる。

私が特に苦手とするのは、自己主張が強い人と妙に

馴れ馴れしく決めつけてくる人である。

そういう人たちは、私の感情など完全に無視して

ずかずかと踏み込んでくる。

私は激しい拒絶反応を起こし、疲労する。

だからなるべく避けるようになった。


私は対人関係においては、平和的というより

事なかれ主義を通してきた。

それはふにゃふにゃした自己を守るために

他ならない。


事務長氏とは衝突を繰り返した。

おおらか氏や数人の男性とは小競り合いのような

こともあったが、いずれも大したことはなかった。


逆に、女性の方に気を使うことが多かった。

女性はグループ化しやすい。

しかし私は、ある程度自由でいたい。

そこが相容れないところだ。

自分と同性だけにかえって、動向が読めない。


私は仕事を教える際に、相手が失敗しても

強い口調で責めたことは一度もない。

自分がされて嫌だったことは、相手も嫌に違いない

ということもあるが、強く叱ること自体が怖かったのだ。


それが相手にとって良かったのかどうかと聞かれれば、

その人個人によるとしか言いようがない。


私は人情の機微がわからないので、違うことで傷つけて

いたかもしれないが、表向きは「優しい先輩」であった

ように思う。




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平穏

 仕事環境の変化に適応しにくい私だが、一旦その環境に

適応してしまえば、おのずと道が開けていく感覚があった。


たとえて言うなら、適応するまでが長い長い登り坂のような

感じで、途中で休みたくなったり、リタイアしたくなったりと

そんな弱気な自分をなだめすかして、やっと登りきれば

大きな達成感と充実感を得られた。


しかし、それにはひとつだけ条件があった。

自分が興味や関心を少しでも持てることだ。

私は、興味・関心の対象にならないことに

対しては、(義務ではない限り)避けて通る

極端な人間なのだ。


それまで苦手だと思っていた「時間に追われる」

「マルチタスク」「少ないワーキングメモリ」も、

その仕事に一定のルールや法則性を見出し

「決まりごと」として身に着けると、面白くなってきた。

「努力すれば報われる」と素直に思った。


次第に周囲から「ミスが少ない。しっかりしている。」

と認識してもらえるようになった。


思えばこの直近の10年間で、精神的にも安定して

最も充実した平穏な日々だった。

しかし、その平穏な日々は長くは続かなかった。




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苦闘

 営業事務に異動した私は、表情には出ないけれど

内心では苦闘を重ねていた。


常に時間に追われる仕事だから、周囲の口調は

ともすればきつくなりがちであった。

次の過程を受け持つ係の人たちに、

「間違っているのに気付いていない。」
「もっと早く、まだ出来ないの?」
「本当にわかっているのか?」
「今度は大丈夫なんだろうね。」


といった具合に、次から次へと言われ続けた。


平謝りを繰り返し心は傷だらけだったが、

そのうちきつい口調にも慣れてきた。


時間の経過とともに、私の思考回路は

少しずつ構成されていった。

不器用で要領が悪い私にとって、新しい仕事に

習熟するためには、いつもこの過程が不可欠だ。


「この場合には、このように対処することが最適。」

というパターンを、マニュアル化して記憶する。

遭遇する多数のパターンのマニュアル化に、一旦

成功するとその応用はさほど難しくなくなる。

思考回路に埋め込んだ内容は忘れにくい。

マルチタスクも、この方法で習得した。

経験 → 分析 → 理解 → 記憶 → 応用


わたしの思考方法は独特なのだろう。

一般人はもっと速く仕事を覚え、慣れることができる。

自分にはできないから、とてもうらやましい。


器用になりたい。要領が良くなりたい。

望んでもそれは叶わない。

なぜなら私は、自閉症スペクトラムだから。

しかし当時は、そのことを知らなかった。




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適応性

 自分が「自閉症スペクトラム」だと認識してから、

それまでの人生のあらゆる場面において、

著しく「適応性」が低かった(適応に時間がかかる)

ことに納得できた。



営業事務に異動してから、以下の事項を克服するために

私はかなりの努力と時間を要した。


● 絶え間なく時間に追われる

 経理・総務の在籍期間が長かったこともあり、
 私はある程度自分のペースで仕事をすること
 に慣れていた。
 
 営業は、「納期厳守」が鉄則だから
 周囲のペースに合わせなければならない。
 
 ともすれば遅れがちになるので、
 疑問に思ったことはすぐ聞いて
 確認しなければならない。


● 同時に複数の作業をする
 
 事務作業をしながら、来客・業者の応対、
 他部署の社員との連絡など、必要に
 応じて即座に切り替える。 

 私は自分の手元に意識が集中しすぎる傾向
 あり、来客等に気付かないことが度々重なり、
 周囲に指摘されることが多かった。


● 臨機応変な対応を求められる

 注文の追加やキャンセルは、かなりの頻度で
 発生したからそれに対応した処理一切を
 しなければ後でつじつまが合わなくなる。

 幸い、追加とキャンセルなどの一般的な
 事務処理の方法は、ファイルにわかりやすく
 整理されていた。

 私は耳からの情報処理が弱い(遅い)ので、
 言葉で教えてもらうより、このファイルを参照
 することで、かなり救われたと思う。


異動当初は、かなり悶々と悩んでいた。

悩んでいたけれど、新しいことを覚えるという

期待感も感じていたから、何とか乗り越えられた

のだと思う。




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配属その4

 およそ四半世紀ぶりに私は、再び営業事務に配属された。

営業事務には、新卒入社後3ヶ月しか在籍していなかったから、

甚だ浦島太郎に近い状態だった。

しかも、時代の流れと共に業務の進め方が変化していたので、

45歳の新人には覚えることが山ほどあった。


異動前に業務代行のため、仕事の一部は教わっていたが、

それは最低限の範囲に過ぎず、周囲のフォローもあったから

何とか無事にこなせることができた。

異動後に、このことを嫌というほど意識させられた。


私の指南役は、二回りも年下の後輩社員だった。

幸いなことに、私は歳の離れた彼女たちから仕事を

教わることに殆ど抵抗感がなかった。

逆に、人に教えるより教わる方が楽だと思っていた。

久方ぶりの新人気分に浸っていた。


しかし、現実はそんなに甘いものではないことに

まもなく気付かされた。

仕事内容は、絶え間なく時間に追われつつも

同時に複数の作業を行い、臨機応変な対応も

求められるという、私にとっては苦手なものが

てんこ盛りのメニューだったのである。


青息吐息の日々が始まった。




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20世紀パソコン

就職してからまもなく満25年を迎えようとする頃、

私は営業事務への異動を命じられた。


幼少時からずっと周囲との違和感を抱えて生きてきた。


緘黙や人見知り、引っ込み思案、赤面恐怖、口下手、

情緒不安定、自己否定、強迫性障害、うつ病など

あらゆるマイナス要素と闘ってきた。


自分にはうまくできないことが多すぎることも、

発達障害に近い症状があることも認識していた。


しかし自閉症スペクトラム」という概念には

無知だったから、自分はかなりの変り者に違い

ないという感覚しかなかった。


自閉症スペクトラムの特徴として、

「マルチタスクが苦手」
「ワーキングメモリが少ない」

ということがよく知られている。つまり、

「同時に複数のことに対応できない」
「並行作業が苦手」

ということである。

私が営業事務の仕事をこなす上で

最も困難に感じたことだった。


私は処理量(ワーキングメモリ)が少ないけれど、

長期記憶(ハードディスク)は膨大な、

前世紀のパソコン頭だったのである。




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業務代行

 強情な私は、事務長氏に人格を否定されて号泣した

次の朝も何事もなかったように出勤し、業務をこなした。


顔を見るのも、声を聞くのも腹立たしくてやりきれない

思いは相変わらずだったが、努めて無表情を貫いた。


営業部のイベントが近づき、私が業務代行に入る日程を

知らされた。仕事を覚えるのに集中しようと決めた。


代行期間の数日は、営業事務の上司のフォローもあり、

私は何とか課せられた業務をこなすことができた。

ほっと一息ついた。


それからしばらくして、直属の役員から営業事務への

人事異動を命じられた。前の異動から19年近くが

経過していた。私は45歳になっていた。


話を聞いた瞬間に感じたのは、これで事務長氏が私の

視覚と聴覚の範囲から外れるという安堵の気持ちだった。

素直に嬉しかったが表情には出さず、神妙な面持ちで

人事異動が決まった経緯を役員に尋ねた。


すると、役員と事務長氏と他の上司たち合計4人で

話し合って決めたという。そうなのかと思った。


総務の仕事は好きだったが、もう総務部に未練は

無かった。総務部を去るのだから、この際言いたい

ことは言っておくことにした。


以前は「告げ口」になるとためらっていた事務長氏の

私に対する言動を洗いざらい、役員に話した。

役員も思い当たる節があったようだ。ちらりと

注意してくれるようなことを約束してくれた。


注意しようとしなかろうと、もはや私にはどうでも

良かった。

役員が事務長氏に、なにがしかの働きかけをした

ところで、事務長氏が変わることはないだろう。

私はただ、気持ちを吐露すれば十分だった。


私は、仕事の引継ぎをスムーズに行うための

業務の洗い出しに取り掛かった。




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号泣

 ひたすら忍耐を重ねる生活に、少しほっとできる時間ができた。

直属の役員から、他の部署の手伝いを命じられたのである。


最初は、長期入院予定者の休職時のピンチヒッターとして

限定的な業務を任された。

次は、営業事務の人手が足りない際の手伝いということで

見習いをすることになった。


これらに当てた時間は、別室や別フロアに移動して仕事を

していたので、事務長氏の姿や声を気にしなくても良かった

から、とても解放的な気分になれた。


営業事務の見習いを数回重ねたある日のこと、事務長氏が

「営業事務の仕事は、人並みにできるようになったのか。」と

聞いてきた。

私は、「まだ数回しか見習いをしていないので、十分ではない。」

という旨の返事をした。

すると事務長氏は「そんな状態で営業事務の代行ができるのか。」

と詰問してきた。

実は、営業部が近く予定しているイベントの際に、営業事務員が

駆り出されるから、その代行のために私に見習いをさせていた

らしい。


私は、「直属の役員や営業事務の上司から、具体的な日程は何も

聞いていません。」と事実だけを述べた。

事務長氏は急に怒り出し、「お前は(直属の)役員の言うことしか

聴かないのか。そんな奴とは俺は話したくない。」と言い放った。

私はとっさに、売り言葉に買い言葉で「私も話したくありません。」

と返してしまった。

ちょうど昼休みの休憩に行く準備をしていたところだった。

事務長氏の「そんな人間、俺は要らない。」という一言が、

背中越しに私の心に突き刺さった。

私は振り返らず、事務室を後にした。


   休憩時間中、私は悔しさと怒りに苛まれていた。

   私はただ、事実を述べたに過ぎない。

   人前で罵倒される覚えはないと思った。

   事務長氏は理不尽に私を貶めた。

   もう許すことはないだろうと感じた。


休憩終了後、私は努めて冷静を装い席に戻った。

しかし、心は乱れていたので人の顔を見ないように

していた。業務終了までがとてつもなく長かった。


自分の部屋に帰り着いた途端、たがが外れたように

涙が出てきた。同居犬が不思議そうに眺めていた。

私は泣きながら、母に電話を掛けた。

話しながらいつしか号泣していた。

母になだめられて、いくらか平静を取り戻した私は、

犬を撫でながらいつしか眠っていた。


次の朝、普段通りに出勤した。

それまで何度も衝突を繰り返してきたが、

いつも絶対負けないと自分を鼓舞してきた。

どうやら私は筋金入りの強情っ張りのようだ。




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心模様

 事務長氏とのぎくしゃくした関係に悩んでいた私は、

当時通院していた精神科の医師に相談した。

医師は、社内のしかるべき人に相談した方が良い

アドバイスしてくれた。


思いついたのは直属の役員だったが、私は率直に

(感情的にならずに、理解されやすいように)話が

出来るかどうか不安があった。

また、いわゆる「告げ口」をするように思えて、

気が乗らなかった。


通院の帰り道、街中をぶらぶら歩いていた。

ふと、参考までに「占い」に頼ってみようと

いう気持ちになった。


私は特にスピリチュアルな人間ではない。

「当たるも八卦当たらぬも八卦」の立場にいる。


初老の男性占い師に、名前も相談事も告げずに、

手相だけを観てもらった。

その結果に私はとても驚いた。


彼は紙に次のように書いた。  「神」

そして、「神」の上に「精」、「神」の下に「経」と

続けた。

つまり「精神」と「神経」という2つの熟語だった。

彼はおもむろに、「あなたは、この2つのことに

かなり影響されやすい方ですね。」と告げた。

そして「現在、強い憎しみを持っている人物が

いるでしょう。」とも語った。


図星だった。私の心模様は、そのまま手の模様と

なって現れていたのだった。

彼は「憎しみなどの負の感情は、あなたの運気を

下げるから、できるだけ捨てなさい。」と忠告して

くれた。


見事なまでに心を見抜かれて、素直に忠告に

従おうと思った。


それから私は、なるべく事務長氏の存在や言動を

気にしないように努力し始めた。我慢できなくなったら

席を立って、しばらく気を静めるようにした。

これには、かなりの忍耐力を要したからとても疲れた。




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困惑

 事務長氏との間がぎくしゃくする原因を作ったのは、

私の方だった。非はすべて私にある。


2度目の復職を果たしてから、私は毎朝パソコンを起動した後、

業務を始める前にインターネットのヤフーのホームページを

ちらりと見ることが日課になっていた。


以前は、周囲の人が個人的に情報をネット検索して

印刷していても特に注意されていなかったので、

いけないことだという自覚が無かった。


実は、私が休職している間に就業規則が改正されて、

業務に直結しないインターネットの閲覧が禁止されて

いたのだった。私はそのことを知らなかった。


事務長氏に注意されたので、その後は業務に関係する

範囲に閲覧を自粛することにした。知らなかったとはいえ、

自分は常識外れの行為をしていたのだからと反省した。


しかし、事務長氏が注意するまでの間、ずっと続けていた

ことが彼の心証を害したらしく、私に対する態度が次第に

冷淡さを増していった。


電話の取次ぎをしたら、冷たくあしらわれる。

電話応対の仕方がなっていない。

歩き方がうるさい。

私の担当業務を無断で処理し、そのことを
私に知らせない。

身に覚えのない書類紛失の責任を問われる。

不機嫌な態度に終始する。


私は、ついに彼の声を聴くだけで嫌悪感を

抱くようになっていった。彼の姿が視界に

入ることすら許しがたくなった。


人に対してこんなに激しい感情を覚えた

ことは今だかつてなかった。


私が私でいられたのは、心底深くに潜む

強情さと、私の帰りを待っている小さな

怪獣くん(同居犬)のおかげだった。




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