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号泣

 ひたすら忍耐を重ねる生活に、少しほっとできる時間ができた。

直属の役員から、他の部署の手伝いを命じられたのである。


最初は、長期入院予定者の休職時のピンチヒッターとして

限定的な業務を任された。

次は、営業事務の人手が足りない際の手伝いということで

見習いをすることになった。


これらに当てた時間は、別室や別フロアに移動して仕事を

していたので、事務長氏の姿や声を気にしなくても良かった

から、とても解放的な気分になれた。


営業事務の見習いを数回重ねたある日のこと、事務長氏が

「営業事務の仕事は、人並みにできるようになったのか。」と

聞いてきた。

私は、「まだ数回しか見習いをしていないので、十分ではない。」

という旨の返事をした。

すると事務長氏は「そんな状態で営業事務の代行ができるのか。」

と詰問してきた。

実は、営業部が近く予定しているイベントの際に、営業事務員が

駆り出されるから、その代行のために私に見習いをさせていた

らしい。


私は、「直属の役員や営業事務の上司から、具体的な日程は何も

聞いていません。」と事実だけを述べた。

事務長氏は急に怒り出し、「お前は(直属の)役員の言うことしか

聴かないのか。そんな奴とは俺は話したくない。」と言い放った。

私はとっさに、売り言葉に買い言葉で「私も話したくありません。」

と返してしまった。

ちょうど昼休みの休憩に行く準備をしていたところだった。

事務長氏の「そんな人間、俺は要らない。」という一言が、

背中越しに私の心に突き刺さった。

私は振り返らず、事務室を後にした。


   休憩時間中、私は悔しさと怒りに苛まれていた。

   私はただ、事実を述べたに過ぎない。

   人前で罵倒される覚えはないと思った。

   事務長氏は理不尽に私を貶めた。

   もう許すことはないだろうと感じた。


休憩終了後、私は努めて冷静を装い席に戻った。

しかし、心は乱れていたので人の顔を見ないように

していた。業務終了までがとてつもなく長かった。


自分の部屋に帰り着いた途端、たがが外れたように

涙が出てきた。同居犬が不思議そうに眺めていた。

私は泣きながら、母に電話を掛けた。

話しながらいつしか号泣していた。

母になだめられて、いくらか平静を取り戻した私は、

犬を撫でながらいつしか眠っていた。


次の朝、普段通りに出勤した。

それまで何度も衝突を繰り返してきたが、

いつも絶対負けないと自分を鼓舞してきた。

どうやら私は筋金入りの強情っ張りのようだ。




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テーマ : アスペルガー症候群・自閉症スペクトラム
ジャンル : 心と身体

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