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変人です

 時代はバブル景気へ突き進んでいた。

特別な販売戦略を行使しなくても、会社の業績は好調だった。

日本中が浮かれ酔い痴れていた頃が、懐かしくもある。


私はそんな世相に影響されることもなく、質素な生活を営んでいた。

元々ブランド物には興味がなかったし、騒々しい場所も苦手だった。

そして、いわゆるグルメにも関心がなかった。というか食物に対する

執着心が薄いのだ。嫌いな物もなければ、これといった好物もない。

強いて挙げれば、りんごと緑茶が好きだというぐらい。それも銘柄に

こだわっている訳でもない。料理は美味しければそれに越したことは

ないが、余程まずくない限りはお腹が満たされればいいぐらいにしか

考えていなかった。人気店の行列に並んでまで食べたいという欲求が

なかった。だから自炊の腕前はちっとも向上しなかった。


 朝夕の通勤経路の途中に、中古車販売店があった。

その前を通る度に陳列されている車を眺めては、いつか手に入れたい

と思うようになった。


自分の運転技術の未熟さは承知の上だが、何年もペーパードライバー

を続けていると、なおさら運転できなくなるのではないかという不安

があった。

目的はただ一つ。「ど田舎」の実家に車で帰りたいから。それだけだった。

車を手に入れるために貯金しようと思った。


 入社したての頃、「車が欲しいと思ってます。」と会社の営業

の人につぶやいたら、「その前に彼氏を作った方がいいよ。」

と言われてしまった。

一般男性の思考とは、「そんなものなのかな。」と思った。


 また、営業部を統括する立場にあった上司に、

「君は後輩のように素直な自分を表現したほうがいいよ。」

と言われたこともある。

その後輩は誰から見ても明朗闊達な女性だった。

私は素直に表現して良い個性と表現しないほうが良い個性があると、

心の中で反芻した。


私が素直な自分(本質)を表現したらどうなるか。たちまち会社生活

に不適応を起こすに違いないなどと考えているなんて、その上司の

想像の範囲には入っていないのだろうなと、ぼんやりと思った。


 そしてやっぱりずれていると自覚するのだった。




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テーマ : アスペルガー症候群・自閉症スペクトラム
ジャンル : 心と身体

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